1、「小規模宅地の評価減特例」とは?

被相続人と一定の関係がある親族が、被相続人所有の宅地等(特定事業用宅地・特定居住用宅地・特定同族会社用宅地・貸付事業用宅地)を相続または遺贈により取得した場合に、当該宅地の一定面積について、相続税評価額の大幅減額を認める特例制度です。
この特例制度は、これまで何度も改正され、適用要件が変遷しています。

 

2、平成22年改正について

(1)居住、事業の継続や所得継続しない場合

平成22年改正前は、相続人の居住継続や事業継続がなくても適用が認められてい
ました。しかし小規模宅地等の特例は、相続人の居住継続や事業継続を保護する
という趣旨で作られたものですから、制度の趣旨に合わせる方向で平成22年度の税制改正になっています。
平成22年4月1日以降の相続より、相続人等が相続税の申告期限までに居住や事業を継続しない、または所得を継続しない宅地等については、小規模宅地の評価減を全く受けられなくなりました。つまり、評価減を受けるためには、居住・事業継続と所得継続の両方が必要となります。
但し、配偶者が特定居住用宅地と取得した場合は、居住の継続や所有の継続は必要ありません。

(2)土地を共同相続した場合

例)80%の評価減の要件を満たす相続人と、要件を全く満たさない相続人が共同で同一の宅地を相続した場合、小規模宅地等の特例の取扱いはどうなるでしょうか。

平成22年改正前の取扱いでは、共有者の中に要件を満たす相続人が1人でもいれば、要件を満たさない者も含めて、全員の共有者が80%の評価減を受けることが出来ました。
平成22年4月1日以降の相続からは、同一の宅地等を共有で相続等により取得した場合には、それぞれの取得者ごとに小規模宅地等の評価減特例の適用要件を判定し、個別に適用の是非を判断することになります。

(3)被相続人が有していた宅地等の上に、居住用と事業用の両方が含まれる一棟の建物がある場合

例)被相続人が所有していた宅地の上に、3階建てのビルが建っているとします。

その最上階で被相続人が居住しており、1~2階は居住用マンションとして第三者に貸している、というようなケースです。
平成22年改正前の取扱いでは、この事例については特例が設けられており、特定居住用宅地等以外の部分についても80%評価減が適用されていました。実際に、自己所有の宅地の上にマンションを建て、その一室に自分が居住して

小規模宅地(特定居住用宅地)の評価減特例を使う、という相続対策が数多く見られてきました。
平成22年改正で取扱いが見直され、特定居住用部分とそれ以外の部分で別々に軽減割合を計算することになり、特定居住用部分以外にも80%評価減を適用する取扱いは廃止になっています。

(4)被相続人等が居住していた宅地等が複数ある場合

平成22年改正前の取扱いではそれが明確にされておらず、特定居住用宅地等を複数申告して、裁判に発展する例もありました。
そのため、平成22年度税制改正で、複数の居住用宅地等がある場合には、そのうち主としてその居住に供していた一の宅地等に限って小規模宅地の評価減特例が適用できると明確化されました。

 

3、平成25年改正について

(1)平成26年12月31日までに相続が開始した場合、特定居住用宅地等の評価減特例の適用される宅地の限度面積は、240㎡でした。

平成25年税制改正で、平成27年1月1日以後に相続が開始した場合、特定居住用宅地等の評価減特例の適用される宅地の限度面積は、330㎡に拡大されました。
したがって、特定事業用宅地等が400㎡まで評価減の特例適用を受けられますので、
特定居住用宅地等と併せ、際第合計730㎡まで、小規模宅地の評価減特例の適用が可能となりました。

(2)平成26年1月1日以後に相続が開始された場合で、次のような例では、小規模宅地の評価減特例の適用が拡大されました。

(例)老人ホームに入所したことにより被相続人が居住しなくなった家屋の敷地について、以下の要件があれば、被相続人が居住していたと認め、特定居住用宅地等として評価減特例の適用ができるようになりました。

➀被相続人に介護が必要なため入所したこと。
➁居住しなくなった家屋が貸付などの用途に供されていないこと。

 

4、平成30年改正について

(1)平成30年4月1日以後の相続または遺贈により取得する不動産等について、特定居住用宅地等の評価減特例の対象者の範囲が制限されます。

次のイ)ロ)に該当する人は、評価減特例が適用されません。

イ)自己の配偶者及び3親等内の親族等の所有する家屋に相続開始前3年以内に居住していた人
ロ)相続開始時に居住していた家屋を過去に所有していた人

(2)平成30年4月1日以後の相続または遺贈により取得する不動産について、相続

開始前3年以内に貸付を開始した不動産については、同日前に貸付を開始し田不動産を除き、評価減特例の適用を原則認めないことになりました。
但し相続開始前3年超事業規模で貸付を行っていた者が相続開始前3年以内に貸付を開始した場合は除外されます。

 

「小規模宅地等の評価減特例」の近時の主な改正について

小規模宅地の特例適用の2つの具体例

例1 二世帯住宅で相続のケース

(問題)

甲氏は、所有する宅地に二世帯住宅を建築し、1階に甲氏夫妻、2階に甲氏の長
男夫妻(生計は別)が居住していました。甲氏が亡くなり、甲氏の妻と長男とで共同相続する場合、小規模宅地(特定居住用宅地)の評価減特例の適用関係は、どうなりますか。
(回答)

甲氏の所有する土地建物を、妻と長男が2分の1ずつ共同相続する場合、妻には小規模宅地(特定居住用宅地)の評価減特例が適用できます。
長男は小規模宅地の特例を受けられる場合と受けられない場合があります。

➀住宅内で構造上の区分がされず行き来できるタイプの2世帯住宅なら、長男は同居の親族と認められ、居住継続及び所有継続の要件を満たせば、特定居住用宅地として評価減を受けられます。
➁平成25年12月31日以前に相続が開始した場合には、住宅内で行き来できない構造のタイプの2世帯住宅だと、長男は同居の親族と認められません。甲氏の妻だけが小規模宅地の特例の適用を受けます。
➂平成26年1月1日以後に相続が開始した場合には、構造上区分された二世帯住宅でも区分所有登記がされていなければ、居住継続及び所有継続の要件を満たせば、特定居住用宅地として評価減を受けられます。

➃住宅が行き来できないタイプでも、甲氏が妻に先立たれ、1階に一人住まいの場合、長男は同居の親族とは認められないですが、長男が居住用件と所有継続要件を満たせば、特定居住用宅地として特例の適用が受けられます。但し甲氏が一人住まいを止めて老人ホームに居住している場合には、前記した一定の要件を満たせば、特定居住用宅地と認められます。

⑤二世帯住宅を売却する場合
甲氏の妻が相続した部分を、相続後すぐに売却したとしても、小規模宅地の特例は認められます。配偶者には所有継続や居住継続の要件がいらないです。
長男が相続した部分を、相続申告期限前に売却すると、所有継続の意思がないものとみなされてしまい、小規模宅地(特定居住用宅地)の特例の要件を満たしません。

 

例2 事業の全部または一部を転業したケース

(問題)乙氏は、その所有する土地(200㎡)に建てたビルの1階で小売酒店、2階で飲食店を、経営していました。乙の長男が土地建物を相続しましたが、相続後に長男が次のように転業した場合、小規模宅地の評価減特例の適用は、どうなりますか。

 ➀2階の飲食店は続け、1階の小売酒店を廃業しコンビニにしました。
 ➁1階の小売酒店と2階の飲食店を全部廃業し、1階をコンビニ、2階を賃貸にしました。
 ➂1階の小売酒店と2階の飲食店を廃業し、1階2階をコンビニにしましたが、酒の小売販売は一部続けました。
 ➃1階の小売酒店と2階の飲食店を全部廃業し、1階をコンビニにし酒の小売販売を止め、2階部分を自宅にしました。
(回答)

➀について
 1階の酒店を別の業態に変更しても、2階の飲食店を続ければ、土地(200㎡)全部が特定事業用宅地等に該当します。

➁について
 相続後長男が2階を他人に貸すと特定事業用宅地でなくなります。
 2階部分に相当する宅地等には特例の適用がありません。貸付事業用宅地として特例の適用を受けるには相続開始前から貸付をする必要があります。
 1階部分も転業したので、事業継続とは認められず、特例の適用がありません。

➂について
 転業後も従前の事業を一部でも残せば、事業継続と認められ、1階部分に相当する宅地等には特例の適用があります。

➃について
 1階全部転業・2階廃業したので事業継続とは認められません。
 2階部分も相続開始後の住居なので、特定居住用宅地等にはなりません。
 土地(200㎡)全部につき特例の適用はありません。
 なお相続税申告期限前に、ビルを売却すると、事業継続の意思がないものとみなされ、小規模宅地の特例適用を否認されます。
 したがって、ビル売却を検討しているとしても、実際の売買契約は相続税申告期限後しばらくたってからの方がよいでしょう。

 

小規模宅地等の評価減特例―その他

 

1、適用面積調整の問題

小規模宅地の評価減特例を用いて、節税する場合であっても、特定事業用等宅地や特定居住宅地、貸付事業用宅地等を複数所有されているときは、どの宅地どの範囲で、同特例を優先適用させるかをよく精査する必要があります。
複数用途の宅地を所有されている場合の特例の適用面積調整問題です。すなわち特定居住用宅地の場合、面積240㎡(税制改正で平成27年1月1日以後の相続開始から限度面積330㎡に拡大)まで80%評価減になり、貸付事業用宅地の場合は面積200㎡まで50%評価減になりますが、特定居住用宅地と貸付事業用宅地を所有する場合、限度面積を調整しなければなりません。典型的な例を挙げます。

例➀特定居住用宅地から優先適用し240㎡(平成27年1月1日以後の相続開始から330㎡)全部に特例を適用すると、貸付事業用宅地には特例が適用できません。
例➁貸付事業用宅地から優先適用し200㎡全部に特例を適用すると、特定居住用宅地には特例を適用できません。
このように特例の適用面積調整が必要な事案で、調停等で遺産分割協議成立後に、相続人各人が相続税申告を別々の税理士に依頼した場合、各人が自分に有利に面積調整して特例を適用し申告するという事態が起こり得ます。しかし、それでは税務署は特例の適用を認めてくれません。したがって相続税申告は、相続人全員が同一の税理士に依頼し申告内容を統一した方がベストのですが、諸般の事情で別々の税理士に依頼するなら、特例の面積調整について事前に合意しておくことが必要です。

 

2、この特例の適用を受けるためには、特例の適用によって相続税額がゼロになる場合でも、相続税の申告手続が必要です。

さらに当該適用対象宅地等を誰が相続するのか確定していなければなりませんので、
相続税の申告書を提出する際、遺産分割協議に関する書類の写しや遺言書写し等を添付する必要があります。

相続する宅地が特例の適用を受けられるのか、宅地が複数ある場合にどの宅地について適用を受けるか、相続税の申告期限までに遺産分割協議がまとまりそうにない場合はどうすればよいか、などについても、当事務所にお気軽にご相談下さい。

 

3、小規模宅地等が特定事業用宅地等である場合

被相続人等の事業の用の供されていた宅地等で、次に掲げる①又は②の要件のいずれかを
満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したものをいいます。

(注)当該宅地等を複数共同相続(遺贈)のより取得した場合には、下記①又は②の要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られています。
(注)不動産貸付業等、駐車場業、自転車駐車場業等(以下「不動産貸付業等」といいます。)を除きます。

➀被相続人の事業を相続開始後に事業承継する場合

要件内容
(イ)事業承継の要件被相続人の親族(当該親族から相続又は遺贈により当該宅地等を取得した当該親族の相続人を含みます。)が相続開始時から相続税の申告書の提出期限までの間に当該宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を承継すること
(ロ)所有継続の要件上記の事業を承継した親族が相続開始時から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)事業承継の要件上記の事業を承継した親族が事業承継後、相続税の申告期限まで引き続き当該事業を営んでいること

前記➀(被相続人の事業を相続開始後に事業承継する場合)の場合は、事業承継の時期は被相続人に係る相続開始後でも差し支えなく、また、当該事業を承継する親族は当該相続に係る被相続人と生計が一であるという要件は必要とされていません。

➁被相続人と生計を一にする親族の事業の用に供されていた場合

要件内容
(イ)生計一親族要件被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した親族が当該被相続人と生計を一にしていた者であること
(ロ)所有継続の要件相続開始から申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日。(ハ)において同じ。)まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)事業承継の要件相続開始前から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の事業の用に供していること

前記➁(被相続人と生計を一にする親族事業の用に供されていた場合)の場合には、生計を一にする親族が当該宅地上で営む事業は当該相続に係る被相続人の相続開始前から営まれていることが要件とされています。
「特定事業用宅地等」は減額割合が80%、適用上限面積400㎡までありますので、不動産賃貸等以外の事業を主に営んでいる方は、有効活用すると節税できます。

 

4、小規模宅地等が「特定居住用宅地等」である場合

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(当該宅地等が2以上ある場合には、一定の方法で定めた主としてその居住の用に供していた一の宅地等に限るものとされています。)
当該被相続人の配偶者又は下記②の(イ)から(ハ)に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族(当該被相続人の配偶者を除きます。)が相続又は遺贈により取得したものをいいます。

(注)当該宅地等を複数で共同相続(遺贈)により取得した場合には、当が被相続人の配偶者が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分又は下記②(イ)から(ハ)に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈によ取得した持分の割合に応ずる部分に限られています。

➀当該被相続人の配偶者が取得した場合

Small-scale residential area_1

➁次に掲げる要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族
(ここのポイント当該被相続人の配偶者を除きます。)が取得した場合
要件内容
(イ)同居親族の要件当該親族が相続開始の直前において当該宅地等の上に存する当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた者であること
(ロ)所有継続の要件相続開始から申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日。(ハ)において同じ。)まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)居住継続の要件相続税の申告期限まで当該家屋に居住していること

Small-scale residential area_2

(ロ)配偶者及び一定の同居親族が存せず非同居親族が取得した場合
要件内容
(イ)配偶者及び一定の同居親族不存在の要件当該被相続人の配偶者又は相続開始の直前において(イ)に規定する家屋に居住していた親族(当該被相続人〔相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人〕をいいます。)がいないこと(注)

(注)法定相続権を有していた被相続人の親族が当該被相続人と同居していた場合に限り他の親族が取得した宅地等について特定居住用宅地等に該当しないことになります。

したがって、法定相続権を有しない被相続人の親族が当該相続人と同居していた場合であっても、他の要件を充足する限り特定居住用宅地等に該当することになります。

(ロ)自己等の所有する家屋に居住したことがない要件当該親族(注1)が相続開始前3年以内に相続税法の施行地内にある者又はその者の配偶者の所有する家屋(当該相続開始の直前において当該被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがない者(注2)であること

(注1) 当該被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者に限られます。

(注2) 上記に該当する者であっても、相続税法第1条の3(相続税の納税義務者)第3号に規定する者(相続又は遺贈によりこの法律の施行地にある財産を取得した個人で当該財産を取得した時においてこの法律の施行地に住所を有しないもの)のうち日本国籍を有しないものに除かれます。

(ハ)所有継続の要件相続開始時から申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日。)まで引き続き当該宅地等を所有していること

Small-scale residential area_3

(ハ)被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた場合
要件内容
(イ)生計一親族要件被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した親族が当該被相続人と生計を一にしていた者であること
(ロ)所有継続の要件相続開始から申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日。(ハ)において同じ。)まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)居住継続の要件相続開始前から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の居住に供していること

Small-scale residential area_4

➂特定居住用宅地等の判定及びその取扱い上の留意点

(イ)被相続人の配偶者が取得した場合には、特定居住用宅地等の該当要件として配偶者が取得する場合、特段の要件(【例】相続税の申告期限までの所有継続要件、居住要件の等)は必要とされていません。

(ロ)被相続人と同居の親族が取得する場合には、当該財産を取得した親族が相続開始の直前において当該被相続人と同居していたことが要件として必要とされています。

(注)上記の取扱いは、前記(1)①に掲げる『特定事業用宅地等』の被相続人の事業を相続開始後に事業承継する場合の形態と大きく異なる(この場合は、相続開始後における事業承継で適用可能)ことに留意する必要があります。

(ハ)配偶者及び一定の同居親族が存しないで非同居親族が取得した場合には、財産を取得した当該親族(非同居親族)が相続税の申告期限まで所有継続要件は付されていても、当該宅地等を自己の居住用宅地等の供するということは特定居住用宅地等の適用要件として必要とされていません。

(ニ)被相続人と生計を一にする親族の居住の用に供されていた場合には、生計を一にする親族が当該宅地等を当該相続に係る被相続人の相続開始前から居住の用に供していることが要件とされています。

 

5、小規模宅地等が「特定同族会社事業用地等」である場合

相続開始の直前に被相続人及び当該被相続人の親族、その当該被相続人と一定の特別の関係がる者

(注)が有する株式の総数又は出資の金額の合計額が当該株式又は出資に係る法人の発行済株式の総数又は出資の総額の10分の5を超える法人の事業(不動産貸付業等を除きます。)の用に供されてい宅地等で、当該宅地等を相続又は遺贈により取得した当該被相続人の親族が相続開始から申告期限まで引き続き有し、かつ、申告期限まで非吃好き当該法人の次号の用に供されているものをいいます。

要件内容
被相続人の親族の要件申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合にはその死亡の日。②において同じ。)において、上記の法人の法人税第2条第15号未規定する役員(清算人を除きます。)であること
所有継続の要件当該宅地等を取得した当該親族が相続開始から申告期限まで引き続き当該宅地を所有していること
事業供用の要件当該宅地等を申告期限まで引き続き当該法人の事業の用に供していること

Small-scale residential area_5

注A:特定同族会社とは、被相続人及び当該相続人の親族その他当該被相続人と一定の特別の関係がある者が発行済株式の総数等の50%超を所有し、かつ、相続税の申告期限において清算中の法人に該当しないものをいいます。

注B:不動産貸付業等の事業の用に供されているものは除かれます。
(注)『当該被相続人と一定の特別の関係がある者』の意義『当該被相続人と一定の特別の関係がある者』とは、次に掲げる者とされています。

一:被相続人と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
二:被相続人の使用人
三:被相続人の親族及び前二号に掲げる者以外の者で被相続人から受けた金銭その他の資産によって生計を維持しているもの
四:前三号に掲げる者と生計を一にするこれらの親族
五:次に掲げる法人

イ 被相続人(当該被相続人の親族及び当該被相続人に係る前各号に掲げる者を含む。以下この号において同じ。)が法人の発行済の株式又は出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額(以下この号において「発行済株式総数等」という。)の10分の5を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該法人

ロ 被相続人及びこれとイの関係がある法人が他の法人の発行済株式総数等の10分の5を超える数又は金額の株式又は出資を有する場合における当該他の法人
「特定同族会社事業用宅地等」は減額割合80%、適用上限400㎡です。

したがって、例えば、個人所有地に同族会社のために借地権を設立し、同族会社が借地上に建物を建設し、飲食業など(不動産賃貸以外の事業)をさせていた場合などがあたります。

 

6、小規模宅地等が「貸付事業用地等」である場合-減額割合50% 適用上限面積200㎡

被相続人の事業(不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業及び準事業(事業と称するに至らない不動産貸付けその他これらに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいいます。)(以下『貸付事業』といいます。)の用に供されていた宅地等で、次に掲げる①又は②の要件のいずれかを満たす当該被相続人の親族が相続又は遺贈により取得したもの(注)をいいます。

(注)(イ)特定同族会社事業用宅地等(上記(3)を参照)に該当するものを除きます。
(ロ)当該宅地等を複数で共同相続(遺贈)により取得した場合には、下記①又は②の要件に該当する被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した持分の割合に応ずる部分に限られています。

➀被相続人の貸付事業を相続開始後に事業承継する場合

要件内容
(イ)貸付事業承継の要件被相続人の親族(当該親族から相続又は遺贈により当該宅地等を取得した当該親族の相続人を含みます。)が、相続開始時から相続税の申告書の提出期限までの間に当該宅地等に係る被相続人の貸付事業を承継すること
(ロ)所有継続の要件上記の貸付事業を承継した親族が、相続開始時から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)貸付事業継続の要件上記の貸付事業を承継した親族が、貸付事業承継後、相続税の申告期限まで引き続き当該貸付事業の用に供していること

Small-scale residential area_6

➁被相続人と生計を一にする親族の貸付事業の用に供されていた場合

要件内容
(イ)生計一親族要件被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した親族が当該被相続人と生計を一にしていた者であること
(ロ)所有継続の要件相続開始時から申告期限(当該親族が申告期限前に死亡した場合には、その死亡の日)まで引き続き当該宅地等を所有していること
(ハ)居住継続の要件相続開始前から相続税の申告期限まで引き続き当該宅地等を自己の貸付事業に用に供していること

Small-scale residential area_7

 

➂貸付事業用宅地等の判定の及びその取扱い上の留意点

(イ)前記➀(被相続人の貸付事業を相続開始後に事業承継する場合)の場合には、事業承継の時期は被相続人に係る相続開始後でも差し支えなく、また、当該事業を承継する親族は当該相続に係る被相続人と生計が一であるという要件は必要とされていません。

(ロ)前記➁(被相続人と生計を一にする親族の貸付事業の用に供されていた場合)の場合には、生計と一にする親族が当該宅地上で営む自己の貸付事業は当該相続に係る被相続人の相続開始前から供用されていることが要件とされています。

理解のポイント『貸付事業用宅地等』(用語の新設)

平成22年度の税法改正によって、小規模宅地等の課税特例の対象に『貸付事業用宅地等』の区分が新設されました。
上記税法改正後においては、被相続人等の不動産貸付事業(貸家、貸地等)の用に供される宅地等についても。
相続税の申告期限までの所有継続の要件及び貸付事業への継続供用の要件が求められることになりました。(平成22年4月1日以後に相続又は遺贈により取得した小規模宅地等に係る相続税について適用されます。)

 

小規模宅地等の評価減特例の近時の主な改正についてのまとめ

現行(平成22年度の税法改正後の取扱いで、平成22年4月1日以後に開始した相続又は遺贈により取得した財産について適用)おける課税特例の適用関係をまとめると、下記に掲げる参考資料のとおりになります。

小規模宅地等の区分要件適用区分減額割合適用上限面積
事業用自己の事業用(1)『特定事業用宅地等』に要件を充足する場合特定事業
用宅地等
▲80%400㎡
(2)『特定事業用宅地等』の要件を充足しない場合小規模宅地等に非該当
貸付用

(例)1、貸家敷地 2、貸宅地

貸付先が『特定同族会社』である場合(3)『特定同族会社事業用宅地等の要件を充足する場合特定同族会社事業用宅地等▲80%400㎡
(4)『特定同族会社事業用宅地等』の要件を充足しない場合①『貸付事業用宅地等』の要件を充足しない場合小規模宅地等に非該当
②『貸付事業用宅地等』の要件を充足する場合貸付事業用宅地等▲50%200㎡
貸付先が上記に該当しない場合(5) 新設の『貸付事業用宅地等』の要件を充足する場合貸付事業用宅地等▲50%200㎡
(6) 新設の『貸付事業用宅地等』の要件を充足しない場合小規模宅地等に非該当
居住用(7)『特定居住用宅地等』の要件を充足する場合特定居住用宅地等▲80%
(8)『特定居住用宅地等』の要件を充足しない場合小規模宅地等に非該当

 

7、手続等の要件

➀原則的な取扱い

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の規定は、当該相続又は遺贈に係る相続税の申告書の提出期限(以下『申告期限』といいます。)までに共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない特例対象宅地等については、その適用がないものとされています。(措法69の4④前段)

➁特例的な取扱い(その1:相続税の申告期限において未分割であった特例対象宅地等について、相続税の申告期限後一定期間内に分割がなされた場合)

当該相続又は遺贈に係る相続税の申告期限までに共同相続人又は包括受遺者によって分割されていない特例宅地等が、次のいずれかに該当することとなった場合にには、その分割された当該特例対象宅地等については、本特例を適用することができるものとされています。

(措法69の44ただし書き)

(イ)相続税の申告期限から3年以内に分割された場合
(ロ)相続税の申告期限から3年以内に分割されなかったことにつき、当該相続又は遺贈に関し訴えの提起されたこと等のやむを得ない事情がある場合において、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、当該宅地等の分割ができることとなった日として定められた日の翌月から4ヶ月以内に分割された場合

なお、相続税の申告書の提出期限までに小規模宅地等の課税価格の計算の特例の対象となる
宅地等の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない場合において、当該申告書の提出後に分割される当該宅地等についてこの特例の規定の適用を受けようとするときは、その旨並びに分割されていない事情及び分割の見込みの詳細を記載した書類(この書類を『申告期限後3年以内の分割見込書』といいます)を相続税に申告書に添付して提出することが必要とされます。

また、「分割されていない宅地等」とは次に掲げる宅地等以外の宅地等をいいます。
(イ)分割により取得した宅地等
(ロ)相続人がその者のみで、包括受遺者がいない場合における、その者が相続により取得した宅地等
(ハ)包括受遺者がその者のみで、他に相続人がいない場合における、その者が包括遺贈により取得した宅地等
(ニ)特定遺贈により取得した宅地等
(ホ)相続税法第4条(遺贈により取得したものとみなす場合)の規定により相続財産法人からの財産分与により遺贈により取得したものとみなされた宅地等

(注意)申告期限から3年以内に分割協議が成立するとは限らない。
遺言により、土地建物の具体的な分け方を定めておくことが節税する上で大切です。

監修者

氏名(資格)

小林 幸与(税理士・弁護士)
-コメント-
払い過ぎた相続税は申告から5年以内であれば、戻ってくる可能性があります。当センターでは無料相談を実施しております。 ご自身のお考えに合うかどうか相談を含めて検討してみる事をお勧めいたします。